阪和電子工業株式会社は、「静電破壊自動測定器」の分野で国内シェア70%以上を誇り、海外へのシェア拡大に向けて、設計開発と海外営業のポジションで採用を行っています。これまでアメリカ・中国・インド出身の従業員の受入れを経験し、2024年に開催した和歌山県主催の合同企業説明会「和歌山 ONLINE ジョブフェア」へも出展をしました。今回は、海外におけるシェア拡大を目指し、国籍問わず優秀な人材の採用に取り組む代表取締役会長・長谷部様と取締役 総合管理部長・西出様のお二人にお話を伺いました。▼左から取締役 総合管理部長・西出さん、バラットゥさん、代表取締役会長・長谷部さん【阪和電子工業株式会社】会社概要:1966年創業。和歌山県内に開発・生産拠点を構え、「明日の扉を開く」という企業理念のもと各種半導体評価用測定機器及び検査機器の開発製造・販売や、エレクトロニクス制御機器の開発及びOEM製作を行っている。業種:製造業本社所在地:和歌山県和歌山市従業員数:56名(2025年8月1日現在)外国人材雇用実績:技術・人文知識・国際業務 2名(国・地域:インド 1名、中国 1名)■雇用前の取組や採用についてQ.外国人材雇用に対するお考えをお聞かせください。弊社は外国人材雇用について、優秀な人材であれば国籍を問わず仲間に入ってもらいたいという考えで採用活動を行っています。選考においても、基本的に日本人従業員採用と共通の採用フロー・要件に基づき採用を行っています。また、その方の日本語レベルに応じた採用試験を用意しています。例えば、設計開発のポジションで働いているバラットゥさんはインド出身で、母国の大学で電子工学を専攻していました。彼の留学先である日本語学校から推薦を受け、国際レベルの高い専門性を持っていることが伺えたため採用を決めました。Q.外国人材を受け入れるにあたり、取り組んでいることや意識していることはありますか。国籍問わず誰もが安心して働ける環境を目指し、文化的な多様性を尊重することを意識しています。例えば、インドの文化ではヒゲを生やすことが一般的ですが、日本の職場では馴染みが薄いとされています。そこで弊社では「ヒゲを生やしていてもOK」と社内規則で明示をするようにしました。その結果、双方が文化の違いを受け入れながら、気持ちよく働くことができていると思います。また、多様な人材を受け入れるために、他社との情報交換も積極的に行っています。宗教や文化に関する理解を深めることで、将来的に同様の背景を持つ方々を雇用した場合の対応策を検討することができています。■内定から入社後の取組についてQ.受入れにあたり、大変だったことはありますか。私たちは、国籍に関わらず従業員を「特別扱い」することはしていません。そのため、正直なところ外国籍従業員だからといって特別な苦労は感じていません。技術職の場合、どこで技術を学んでも国際標準は同じであり、いわば「世界共通言語」に基づいて業務が進むため、高い専門性を有する人材であればある程度は業務上のやりとりが成立すると思います。そのため、他の職種に比べると、日本語の習熟度に不安があっても採用しやすいという特徴はあるかもしれません。とはいえ、やはり受入れ側である我々よりも入社をする外国人従業員のほうが苦労は大きいと思います。例えば、インド人従業員のバラットゥさんは、言葉だけでは伝わりづらい内容を絵や図を使って説明するなど、自ら積極的にコミュニケーションの工夫をしてくれています。Q.受入れ前後で、どのような変化がありましたか。受入れ前後での大きな変化としては、「教え合い」のコミュニケーションが活発になったことです。先ほど、技術は「世界共通言語」と言いましたが、やはり専門用語を母国語から日本語へ変換することは難しいですよね。もちろん、新入社員には国籍を問わず分かりやすく教える工夫をしますが、外国籍従業員の場合はそれ以上に教える側の工夫が必要になります。一方で、外国人従業員もスマホで翻訳しながら一生懸命質問をしてくれたりと、伝える努力をしてくれています。このプロセスを通じて、伝えるための努力や工夫が社内全体で促進され、外国人従業員と日本人従業員が互いに協力しあえるようになっただけでなく、日本人従業員同士のコミュニケーションにも良い変化があったのではないかと感じています。Q.制度面での変化は何かありましたか。年1回、母国への帰省費用を支給する「帰国手当」を新たに導入しました。これまで従業員の多くは県内出身者であったため、帰省にかかる費用負担は大きくありませんでした。しかし、国境を越えて働く従業員にとっては、その費用が大きな負担となります。外国人従業員は故郷を離れて日本で働いている時点で、さまざまなハンデを抱えています。「日本人従業員と外国人従業員が対等に働ける」とはどのような状態なのか、常に意識しながら労働環境をアップデートしています。■今後の展望についてQ.今後、外国人従業員に期待することはありますか。彼ら個人の夢や目標を尊重したうえで、いつか母国に帰るとしても、何らかの形で縁を保ち続けてくれたら嬉しいです。例えば、独立して商社を興した中国出身の元従業員は今でも弊社の商品を中国国内でたくさん販売してくれています。ビジネス上のパートナーシップでなくとも、海を越えた絆を広げていきたいです。そのためにも、彼らの将来につながる経験をさせてあげたいですね。■阪和電子工業株式会社で働くバラットゥさんよりコメント20歳で来日し日本語学校を卒業した後、2021年に阪和電子工業株式会社に入社。現在は後輩の指導も行う入社4年目のバラットゥさんに、入社のきっかけや日本で働く魅力、将来の目標についてお話を伺いました。インドの大学を卒業した後、日本の高い技術力を学ぶために来日しました。和歌山県内の日本語学校に通う生活を通して、"和歌山県はインドの地元に似ていて、とても落ち着いて生活ができる"と感じ、和歌山県内企業を中心に就職活動を行いました。その中で、どこにも真似できないオンリーワンの技術を持つ阪和電子工業株式会社で、「世界に挑戦する日本のものづくりがしたい」と思い、入社を決めました。日本に来る前は、インターネットで「日本人は1日12時間も働き、睡眠時間は4時間しかない」という情報を見ていたので少し不安でしたが、実際は自分で立てた計画通りに仕事を進めることができ、裁量権を持って働くことができています。将来は日本で学んだ知識を活かして、インドで会社を立ち上げたいです。私の叔父は日本で10年間働いた後、現在はインドで日系企業の支社長として働いています。私も日本で経験を積み、彼のように母国で国際的な活躍をしたいと考えています。【編集後記】雇用事例記事#04を最後までお読みいただき、ありがとうございました。取材を通して、国籍問わず従業員と真摯に向き合い、対等に接する姿勢を持つことの大切さを改めて実感しました。「外国人従業員」という型に当てはめず、大切な一従業員として誰もが働きやすく風通しの良い職場づくりに取り組まれていることがひしひしと伝わってきました。社員一人一人の文化や想いを大切にし、共に成長を目指す姿勢が、国境を越えた素敵なご縁につながっているのではないでしょうか。今後も優秀な人材を迎え入れ、和歌山県から世界へ、素晴らしい技術を羽ばたかせていく未来が楽しみです。阪和電子工業株式会社様にも出展いただいた外国人材向けのオンライン合同企業説明会「和歌山 ONLINE ジョブフェア」ですが、2025年は2回にわたり開催予定です。そのうち、6月に開催した同イベント第1回目となる「外国人材向けオンライン合同企業説明会2025春」では、すでに4名の内定者が出ております。また、現在第2回目の開催に伴う出展企業様を募集中です。詳しくは「外国人材向けオンライン合同企業説明会2025秋」詳細ページをご確認ください。※本記事の内容は、取材実施時点(2024年6月28日)での情報となります。取材協力:阪和電子工業株式会社