インドネシア出身のヒマワンさん(写真左)とベトナム出身のホアンさん(写真右)。日本文化への憧れや語学を学んだ経験をきっかけに来日し、現在は和歌山県の水産加工会社、株式会社ヤマサ𦚰口水産で働いています。仕事を通じてスキルを磨き成長してきたお二人は、今では会社に欠かせない存在に。今回はそんなお二人に、日本で働こうと思った理由や和歌山県での暮らし、そしてこれから日本で働く外国人のみなさまへのアドバイスについて伺いました。%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2F4BPZg8QG_aA%3Fsi%3DqaLL_2nnGfDqONt9%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E和歌山県は自然が豊かで美しく、とても暮らしやすい場所──日本で働こうと思ったきっかけについて教えてください。ヒマワンさん:高校生のころから日本の音楽が好きだったことが大きいです。そこから日本語に興味を持ち、大学では日本文学を専攻しました。そこで学んだ日本語の基礎能力を活かせると考えることができたのが決め手でした。あとは正直なところ、日本で働こうと思った一番の理由は、もっと多くの収入を得たいということですね。日本の給料はインドネシアよりも高いんですよ。ホアンさん:私も子どものころからアニメやゲーム、映画などの日本文化に触れ、それらが好きだったからというのが大きいですね。また、ベトナムで日系企業に入社した際、入社初月の研修プログラムを通して仕事の進め方などを丁寧に教えてもらえたことがあり、日本で働きたいという気持ちが強くなったんです。──日本の中でも、和歌山県で水産の仕事をやろうと思った理由はあるのでしょうか?ヒマワンさん:友人から「和歌山県の水産会社での求人がある」と紹介されたのがきっかけです。会社について調べてみたところ、大きな会社で、水産分野に特化していることを知りました。最初は水産には特に興味はなかったのですが、友人から紹介されて調べていくうちに興味が湧いてきたという感じです。それで面接を受けて、入社することになりました。ホアンさん:私は、特にここが良い、と決めて働き始めたわけではないんですよね。ベトナムの送り出し機関から今の会社を紹介してもらい、面接を受けて入社しました。和歌山県を特に希望していたわけではなく、たまたま紹介されたのが今の会社だったため、初めは「とりあえず行ってみよう」という感じだったんです。──そうだったんですね。それでは実際に和歌山県に来てみて、いかがですか?ヒマワンさん:私が初めて和歌山県に来た時の印象は、自然が多くて緑豊かな場所だということですね。町は小さいですが、周囲には森が広がっていて、自然が残っています。都会と比べて空気もきれいで、親切な方が多いです。私はこういう環境の方が好きなので、良いところに来れて良かったな、と思っています。ホアンさん:ほかの大きな都市と比べて、和歌山県は美しい景色がありますし、暮らしやすいと感じますね。会社の人たちも優しい方が多く、落ち着いて生活できています。みんな親切で、仕事もきちんとこなしていますし、休みの日も一緒に遊んだりしています。──それでは、お二人の仕事内容について教えてください。ヒマワンさん:最初は工場内で働いていて、商品の在庫確認や、請求書の確認などの業務を行っていました。1年ほど経って私がお客様や取引先の名前を覚えてきたこともあり、現在は事務所で出荷データの入力や、生産データ、在庫データの管理などを行っています。ホアンさん:私はお客様の要望に応じて魚の仕入れや切り分けなどを担当する部署で、リーダー業務を担当しています。ベトナム人だけでなく、日本人やインドネシア人スタッフの仕事も割り振り、チームをまとめていますね。仕事で大切なのは、自分や周りのスタッフの作業をスムーズに進めること、そしてみんなが安全かつ安心して働けるように気を配ることです。特に包丁など危険な道具を使うことが多いため、安全面にはとても気をつけています。──日本での仕事はいかがですか?ヒマワンさん:最初は仕事自体が難しかったです。工場勤務の時は、お客様ごとに注文の仕様が異なっていたので、対応に苦労しました。でも、慣れてくるとそれが面白さにもつながっていきましたね。今行っている事務作業では、販売データや注文データの入力以外にも請求書の発行業務があり、商品やお客様によってデータのコードや入力方法が異なるため、それを覚えるのが大変です。ただ、注文内容の確認や、発送の手配をしっかり行い、うまく仕事を進められた時は達成感を感じます。ホアンさん:やっぱり日本語が少し難しいですね。3年前に日本語能力試験(JLPT)のN2を取得しましたが、その後一時帰国して日本語をあまり使わなかったので、一部忘れてしまったこともあります。でも仕事の中で日本語を利用すると記憶が戻ってきますし、会話でわからないことがあった時には、もう一度聞けば簡単な日本語で丁寧に教えてくれるので助かっています。今一緒に働いているスタッフとはお互い慣れもあり、私の日本語力でもスムーズに仕事を進められるので、そういった環境で働くことができているのはありがたいですね。初めて日本で働く外国人には、地方で働くのがおすすめ──日本で暮らし始めて、印象的だったことはありますか?ホアンさん:ベトナムでは知らない人でも気軽に話しかけていたのですが、最初に日本に来た時は、見知らぬ人に話しかけるのが難しかったのをよく覚えていますね。日常会話と教科書で学んだ日本語がかなり違うので、最初は相手の質問の意味がわからないことも多く、慣れるのが大変でした。翻訳アプリを使っても、ミスが多くて。たとえば、「大丈夫です」という単語が、文脈によってOKという意味だったりNOという意味だったりするので、混乱することもありました。今はもう慣れたので「大丈夫」なんですが(笑)。ヒマワンさん:確かに、機械翻訳ではニュアンスがわからないんですよね。私も最初は日本語での伝え方に少し困ったこともありましたが、今住んでいる地域の人たちはみんな優しく接してくれて、私の言いたいことをうまく察してくれるので嬉しかったです。──日本での食事はどうでしょうか?何か困ることはありますか?ホアンさん:実は、この仕事をしているのに、生魚は苦手なんです(笑)。日本食は合わないものもあるので、ご飯は基本的に自分で料理して食べていますね。ベトナムではラーメン屋を経営していた経験もあるので、ベトナム式のラーメンを作って食べることもあります。ほかにも、食べたいものは大体自分で作れるので、困ることはありません。ヒマワンさん:私は日本のお肉のカレーが好きです。母国の料理が食べたくなったら、スーパーで食料品を買って、自炊したり友達と料理したりしています。好きなメニューは、アヤム・バカー(インドネシアの焼き鶏肉丼)とナシゴレン(インドネシアのチャーハン)。──母国の味は、やっぱり忘れられないですよね。それでは、日本で暮らしていて、楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?ホアンさん:会社の人たちと一緒にゴルフに行くことが一番楽しいですね。スコアが少しずつ良くなっていって、成長を感じられるとうれしく思います。また、ゴルフ場が山の上にあるので、そこから池や自然などのきれいな景色を眺められるのも最高です。ヒマワンさん:私も会社の人と遊びに出かけるのが楽しいですね。白浜の方へ遊びに行くこともありますし、上司と一緒に食事に行ったり、夏には川に行って泳いだりもします。最近家族を日本に呼んで一緒に暮らし始めたのですが、子どもを保育園に送る時に保育園の先生と会話をする機会があるのも楽しいです。会社の中でも外でも、色々な方々とコミュニケーションを取るのが好きですね。──それでは最後の質問です。これから和歌山県で働こうと考えている外国人のみなさまにアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えたいですか?ホアンさん:若い人は大阪や東京などの都会に憧れて日本に来ることが多いと思いますが、そうではなく「地方から始めた方が良い」と私は思っています。地域の人がとても優しく、何かあればすぐに助けてくれる。特に年配の方がよく話しかけてくれて、家族のような温かさを感じます。そういう環境で働く方が、日本に慣れていない外国人にとっては良いと思うんですよね。ヒマワンさん:それに地方は給料が安いと思われがちですが、経験を積めば昇給も可能です。都会は生活費も高いため出費もかさみ、なかなか貯金ができないと思います。お金の面を考えても、地方で働くのは良い選択だと感じます。私は和歌山県の環境がとても気に入っているので家族も呼びましたし、生活のすべてを和歌山県に移していこうと考えています。二人には、外国人スタッフのロールモデルになってもらいたいインタビューの最後に、株式会社ヤマサ𦚰口水産営業部長の岡本さんに、お二人の印象についてお話を聞きました。▲株式会社𦚰口鮪技術研究所(グループ会社/登録支援機関) 取締役社長と株式会社ヤマサ𦚰口水産 営業部長を兼任されている岡本さん。登録支援機関として、「特定技能」の在留資格を持つ外国人スタッフの就労環境及び生活支援業務を担当。岡本さん:ヒマワンさんは非常に真面目で誠実なタイプです。不真面目な行動は見られず、生活態度もきちんとしています。日本語でのコミュニケーションにおいて、理解や表現の面で多少つまずくことがありますが、そうした場面で感情的にならず、自分の理解が足りなかったと受け止めて前向きに対応してくれています。その姿勢が素晴らしいと感じています。ホアンさんも、派手な性格ではなく、静かに実直に仕事をしてくれるタイプです。将来のこともしっかり考えており、今の仕事に真剣に取り組んでいます。たとえば、資格試験への挑戦や家族の呼び寄せ、自動車免許の取得、家の購入に向けた情報収集など、自分の生活をしっかりと築こうという姿勢が見られます。東京や大阪のような大都市で一時的に稼ぐのではなく、この地域で生活基盤を作り、家族と安定した暮らしを目指す。その考えを持って行動している点は、非常に評価しています。また、ホアンさんは「特定技能1号」の在留資格を持っており、今年10月に「特定技能2号」の試験を受けたいと話しています。現在は、生産ラインをスピーディに動かす仕事で力を発揮しており、製造部門の主任という立場で活躍してくれています。技能実習生のころから経験を積み重ね、現在は日本人の部下を持つまでになりました。役職手当も支給しており、時給制から月給制への変更もしています。大きな戦力になってくれていますし、本人も今後のキャリアが見えてきたことで、家族の呼び寄せにも前向きになっています。弊社にはほかにも12人の外国人のスタッフがいるので、二人には彼らのロールモデルとなってほしいですね。単なる業務面だけではなく、日本の文化に馴染んで生活基盤を作るという面でも、周りの手本となる人物になってもらいたいと思います。※本記事の内容は、取材実施時点(2025年7月)での情報となります。取材協力:株式会社ヤマサ𦚰口水産© Wakayama Tourism Federation