「中野酒造」を前身とする中野BC株式会社は、全国生産量1位を誇る梅やみかん、柿といった和歌山県の名産品を使った商品の企画・開発・製造を一気通貫で行い、全国に販売を行う老舗メーカーです。海外への販路拡大を機に、2017年に経済産業省主催の「国際化促進インターンシップ事業」に参加し、中国からインターンの受入れを経験。その後も採用を拡大しています。今回は、会社として初めての外国人材雇用にも携わった、取締役・前田様と総務部の小谷様にお話を伺いました。▼左から取締役・前田さん、李さん【中野BC株式会社】会社概要:1949年創業。100年企業を目指し、酒蔵としての深化を図ると同時に、酒蔵からの脱却を目指し、様々な酒類の製造販売のほか、うめ原料事業やヘルスケア事業などを行う。業種:製造業本社所在地:和歌山県海南市従業員数:110名(2025年2月1日現在)外国人材雇用実績:技術・人文知識・国際業務 3名(国・地域:アメリカ 1名、台湾 1名、中国 1名)■雇用前の取組や採用についてQ.外国人材雇用を始めたきっかけを教えてください。外国人材を初めて採用したのは6年前です。それ以前から「酒類や健康食品を海外展開する」という方針のもと、語学が堪能な日本人を採用したり、通訳の方を雇用し海外への販路拡大を行っていました。その後、中国への販路拡大を本格化させるにあたり、現地に詳しい人材を雇用して、商品開発や商談にその知見を活かしたいと考えるようになりました。これが、外国人材雇用を検討するきっかけです。とはいえ、「何から始めたらよいものか」と思い、まずは経済産業省が行うインターンシッププログラム(国際化促進インターンシップ事業)で外国人材を受け入れてみることにしました。その後3ヶ月間のインターンとして来てくれたのが、後に会社にとって初めての外国人従業員となる、中国国籍の李さんです。李さんは中国の日系企業で10年近く営業職として働いていたこともあり、その働きぶりはまさに即戦力でした。インターンという立場でありながら、前職の経験を活かして事業の根幹を一緒に作ってくれ、彼を本採用することに迷いはありませんでしたね。「どうしても一緒に働きたい」と伝えて日本に残ってもらいました。Q.なぜ李さんのような理想の人材を採用できたのでしょうか。募集の時点で「どのような人材と一緒に働きたいか」を明確にイメージしていたからではないでしょうか。企業の状況により、雇用した外国人材のサポートをどれくらい行えるかは異なります。弊社の場合、新規事業ということで周囲の従業員が支援に割ける工数にも限界がありました。そこで、日本語の会話はどの程度できる必要があるか、営業職としての経験をどこまで重視するのか、などの認識を詳細に固めていました。だからこそ、李さんをご紹介いただいた際に「この人だ!」と迷わず決定できたのだと思います。■内定から入社後の取組についてQ.受入れにあたり、どのような準備やサポートを行っていますか。受入れ前の準備の1つとして、住環境の整備があります。それまで住居に関する福利厚生は「家賃補助制度」だけだったのですが、特に海外在住の外国人材を受け入れる場合、自分で家を借りるのが難しいケースもあるため、李さんが入社するタイミングで「社宅制度」を新たに整備。加えて、私生活面でも日本人従業員がサポートができる体制作りに取り組みました。受入れ後のサポートとしては、外国人従業員が母国に帰国する際の渡航費用(年に1回)を補助する「帰国補助制度」を新たに創設しました。海外営業職の場合は仕事で母国を訪れることもあるので、その際に実家に帰ってもいいよと伝えています。本人はなかなか利用していないのですが(笑)。Q.外国人材の受入れにあたり、社内の受入れ体制や日本人従業員の反応はいかがでしたか。社内の日本人従業員に理解を深めてもらうために、外国人従業員が所属する部署以外の従業員とも交流する機会を積極的に作るようにしています。新入社員の研修は本人が所属する部署内だけで完結させることが多いのですが、李さんが入社した際には各事業部の取組についてレクチャーをする機会を設けたり、食事会に参加をしてもらったりして、できる限り全ての部門の従業員とコミュニケーションを取ってもらうように意識しました。これらを通して、多くの従業員に李さんがどんな人なのかを知ってもらうとともに、彼自身にも会社や従業員のことをさらに知ってもらうことができたと思います。入社当初は"初めての外国人従業員"ということもあり、接し方に戸惑うこともありました。しかし彼自身の高い適応能力と柔軟性もあり、いつの間にか日本人従業員と分け隔てなく接するように。今では社内の誰もが彼を一人の仲間として、時には厳しくも温かく接しており、社内のムードメーカーとして皆に愛される存在です。Q.受入れ前後で、外国人材雇用に対するお考えに変化はありましたか。受入れ前は外国人材雇用に対して、戸惑いや不安がありました。しかし、実際に李さんを受け入れて一緒に働くうちに、その考えは変わりました。彼が生き生きと活躍する姿を見て、コミュニケーションさえ取ることができれば、国籍を問わず共に働き、成長できるのだと実感しています。彼の活躍のお陰で「一緒に働く仲間に国籍は関係ない」という意識が社内にも浸透し、その後外国人従業員も3人に増加。これからも和歌山県を代表する食材と、そこから生まれた商品に誇りを持ち、多様な背景を持つ従業員と共にグローバルニッチトップのものづくりを目指していきます。■中野BC株式会社で働く李さんよりコメント初めての外国人従業員として中野BC株式会社に入社をし、中国や東南アジア地域の営業を担当している李さんに、入社のきっかけや日本での生活、仕事のやりがいについてお話を伺いました。中野BC株式会社に入社をする前から、中国にある日系企業で食品関係の営業を行っていました。貿易関係の仕事に就くのが夢で、アニメやドラマを通じて日本での暮らしにも興味があったことから、中野BC株式会社のインターンに参加しました。その後、海外営業職として本採用の誘いがあり、自分のやりたいことやこれまでの経験と、企業側が求めるニーズが一番合っていると思い、入社を決めました。元々一人暮らしが長かったこともあり、日本での生活に特に不便はないですね。日本にいても旧正月など年に1度は帰国する機会をいただいているので、中国にいる時と実家に帰る頻度も変わらないと思います。今住んでいる場所も生活に必要なものは大抵揃っているので、休日は近くのスーパーに買い物に行ったりと近場で楽しく過ごしています。今の会社の好きなところは、営業職として数値目標を持って働く中で、目標達成ができているかだけでなく、どのようなプロセスでどのように努力したかを評価してもらえるところです。中国の日系企業で働いた過去の経験なども評価してもらえることが仕事のやりがいに繋がっていると思います。会社の信頼に応えられるように、これからも売上目標に責任をもって仕事に取り組んでいきたいです。【編集後記】雇用事例記事#02を最後までお読みいただき、ありがとうございました。初めての外国人材雇用にもかかわらず、企業側・外国人材側双方のニーズがぴったりと合致し、今や中野BC株式会社の根幹を支える中心メンバーとして共に成長する李さんの姿がとても印象的でした。こうしたスピード感のある活躍の裏には、「海外への販路拡大」という目標に向かって、求める人材像を具体的に描いた上で受入れに臨む企業の姿勢がありました。また、入社後も会社にいち早く溶け込めるようサポートし、裁量を持って働くことができる環境を整えたことが、お互いの深い信頼関係につながっているのだと感じます。どの企業のみなさまも初めは様々な不安を抱えていらっしゃいますが、まずは一歩を踏み出してみることで、会社の未来に繋がる新たな可能性を見出すことができるのだと実感しました。外国人材雇用を検討するにあたり、インターンシップの受入れも有効な手段の一つです。一定期間協働することで受入れ側・外国人側双方が入社後のミスマッチを減らすことができます。「採用まではまだハードルが高い⋯」と感じている企業のみなさまは、ぜひインターンシップでの受入れをご検討してみてはいかがでしょうか。インターンシップの受入れに伴う在留資格や手続きの詳細は出入国在留管理庁のHPをご確認下さい。WAKAYAMA外国人材雇用サポートデスクでは、外国人材雇用に関する相談を無料で承っております。その他、セミナー・イベントも開催しておりますので、ご活用のほどよろしくお願いいたします。雇用事例記事#03の公開もぜひ楽しみにお待ち下さい。※本記事の内容は、取材実施時点(2024年7月5日)での情報となります。取材協力:中野BC株式会社参考情報:経済産業省「国際化促進インターンシップ事業」